熱が 放熱⇔断熱 のスイッチになる材料!?

これからの社会は、IoT*(Internet of Things)ですべてのヒトがありとあらゆるモノとつながり、モノとモノがつながり、超高速通信、高集積化が顕著になります。そこで重要視されているのは、高い放熱性です。また一方で、低温からも守る必要があり、そこで必要なのは断熱性です。宇治原研究室では、この相反する機能を兼ね備え、しかも温度によってその機能を自身で切り替える材料を開発しました。

*IoT=Internet of Thingsの略。直訳すれば「物のインターネット」となりますが、パソコン類以外の「物」が、センサーと通信機能を持ってインターネットにつながること。それにより、人間が遠く離れた「物」の様子を知ることが可能になり、さらに「物」をコントロールすることにより、より安全で快適な生活が可能になります。
*AlN=アルミニウムの窒化物であり、無色透明のセラミックス。化学的には非常に安定した物質であり、熱伝導率が高い。絶縁体。

1.研究の背景

現在の情報社会(Society 4.0)では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきました。これから来たるsociety 5.0 では、IoT(Internet of Things)ですべてのヒトが、ありとあらゆるモノとつながり、モノとモノがつながり、様々な知識や情報が共有されることになります。膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して、新たな価値が産業や人間社会にフィードバックされることになります。すなわち、超高速通信、高集積化、微細化が顕著になります。そこで問題になるのは「機器から発せられる熱」で、高い放熱性を持つことが重要視されています。

2.低温からも高温からも守ることが必要

この膨大かつ超高速の通信を、確実に正確に実行させるためには、低温からも高温からも守られた環境を整える必要があります。我々は、それをスイッチング操作ではなく、物質のもつ性質として、低温の時は断熱(保温)し、高温になると放熱するという性能を持った物質の開発に取り組んでいます。これは、集積回路などの温度管理を行う際に非常に役に立ちます。

3.実現性について

宇治原研究室では、この材料を酸化タングステンへのイオン挿入脱離によって実現することを目指しています。