5G通信やIoTで重要な高い放熱性を発揮するAlNウィスカー

5G*通信やIoT*で重要な高い放熱性を発揮するAlN*ウィスカー*

これからの社会は、IoTですべてのヒトがありとあらゆるモノとつながり、モノとモノがつながり、超高速通信、高集積化が顕著になります。そこで重要視されているのは、高い放熱性です。我々は、この問題を解決する、極めて高い熱伝導率を持ち、かつ絶縁体である、窒化アルミニウムの単結晶ウィスカーが成長する技術を確立しました。

*5G=通信システム(インフラ)と携帯端末の両方を、根幹からそっくり入れ替え、大幅な通信速度向上を実現する節目とその仕組みを“世代”(Generation)と呼んでいます。現在日本で主流なのは第四世代、いわゆる「4G」ですが、5Gは、IoT社会が進み、自動運転や遠隔手術、8K映像の伝送など、「遅れることなく、正確に、同時に多数、大容量の情報を伝達する」ことを可能にする、2020年の開始を目指している通信システムのことです。
*IoT=Internet of Thingsの略。直訳すれば「物のインターネット」となりますが、パソコン類以外の「物」が、センサーと通信機能を持ってインターネットにつながること。それにより、人間が遠く離れた「物」の様子を知ることが可能になり、さらに「物」をコントロールすることにより、より安全で快適な生活が可能になります。
*AlN=アルミニウムの窒化物であり、無色透明のセラミックス。化学的には非常に安定した物質であり、熱伝導率が高い。絶縁体(電気を通さない)。
*ウィスカー=金属表面を適当な温度と雰囲気に保つと非常に強く硬い細い結晶が伸び出すことがあり、これをひげ結晶(=ウィスカー)といいます。転位を含まない完全に近い結晶構造をもつと考えられています。

1.研究の背景

現在の情報社会(Society 4.0)では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきました。これから来たるsociety 5.0 では、IoT(Internet of Things)ですべてのヒトが、ありとあらゆるモノとつながり、モノとモノがつながり、様々な知識や情報が共有されることになります。膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して、新たな価値が産業や人間社会にフィードバックされることになります。すなわち、超高速通信、高集積化が顕著になります。そこで問題になるのは「機器から発せられる熱」で、高い放熱性を持つことが重要視されています。

2.高い放熱性を持ち、かつ絶縁体のAlNウィスカー

我々は、この「蓄熱」問題から活路を見出す、極めて高い熱伝導率を持ち、かつ絶縁体である、窒化アルミニウムの単結晶ウィスカーが成長する技術を確立しました。1本ずつ見てもらうと、きれいな6角形の単結晶、いわゆる繊維状のセラミックスです。これを樹脂に混ぜることで、樹脂の熱伝導率を著しく変えることができるんです。
この技術を用い、樹脂と複合化させることで熱の問題の解決に取り組んでいます。
(取り組み実例)
高い放熱性のある高周波基板
高放熱複合材料

※学内ベンチャー企業 U-MaP

http://www.umap-corp.com/